平成21年11月末くらいから、体調不良を感じていた金沢薬局の店主、金沢隆は初め「風邪かな?」と思っていました。次第に、歩くのもしんどくなり「もしかしたら腎不全かも知れない」そう思い至った矢先に全身浮腫で、病院へ。
血液検査で異常値がでた為、膀胱鏡検査、腹部超音波(エコー)検査、CT検査、R1(ラジオアイソトープ)検査、X線検査など癌関連の検査をひととおり行うと共に即入院となりました。
金沢隆の検査結果から、尿管腫瘍との診断、加えて腎不全・心不全(BNP › 4000)を併発しているとの診断を受けました。
最初の病院には腎の専門医がいない為手術ができない、ということで転院いたしましたが、転院先の病院ではCT検査だけで「癌が全身に転移しているので手術は無理」といわれました。
不思議に思ったわたしたちは知人の紹介でセカンドオピニオンを受診、組織検査の結果尿管腫瘍は良性のもので『悪性腫瘍はない』という診断、手術が可能となりました。
尿管腫瘍、腎不全、心不全~手術を経て、平成25年1月現在、金沢隆は至って元気!でございます。
わたしたちは漢方薬のスペシャリストですので、もちろん、自身の病気にも漢方薬をフルに活用いたしております。
発病から3年余り・・・。
もし同様の診断を受けたり、似たような病気や病状でお悩みの皆様へ「こんな方法もありますよ」ということをお伝えしたく、ホームページに掲載する運びとなりました。
金沢薬局の店主がどのようにして尿管腫瘍・腎不全・心不全を克服したのか、綴ってまいりたいと思います。
尿管腫瘍(がん)とは・・・?
腎臓でつくられた尿は、腎盂(じんう)というところに貯められ、その後尿管を通って膀胱へ運ばれ、尿道をとおって排泄されます。
腎盂に発生したがんを腎盂がん、尿管に発生したがんを尿管がんといいますが、治療法に差がない為「腎盂尿管がん」といい、ひとくくりにして扱われることが多いです。
尿の通り道である、腎盂(じんう)・尿管・膀胱・尿道はすべて移行上皮(伸びて広がる性質をもつ上皮のこと。膀胱の移行上皮は尿がたまると伸びる)で覆われています。
よって、腎盂尿管がんはまた「移行上皮がん」と呼ばれることもあります。
腎盂尿管がんは約2:1で男性の発生率が高く、発生年齢としては50歳以上が全体の90%を占めています。 これといった自覚症状がなく、痛くもかゆくもない血尿が出ることが腎盂尿管がんの特徴です。(中には潜血といって尿潜血反応の検査でしかわからないようなわずかな量の血尿の場合もある)
進行していくと、腎不全などを併発し、尿の出が悪い、腰や背中が痛む、といった症状が現れてきます。また、がん転移をすれば、症状が重くなると同時に、治療も難しいものになっていきます。
発生メカニズムなどが膀胱がんと同じであり、尿路内で多発・再発しやすいという特徴を持っています。尚、両側の腎盂の両方に腎盂がんが、または尿管の両側に尿管がんが、発生することは稀です。
診断方法(主な検査項目)
腎盂尿管(じんうにょうかん)がんの診断方法には、以下のような検査があります。
* 膀胱鏡検査
* 尿細胞診検査
* 腹部超音波(エコー)検査
* CT検査
* MRI検査
* 尿管鏡検査
* 逆行性腎盂造影検査
血尿が認められた場合、膀胱がんの発生の頻度が高いため、まず膀胱がんを疑って検査をします。
膀胱鏡検査をし、膀胱内に腫瘍が見つからない場合、左右の尿管口を調べた後、尿細胞診検査(尿を顕微鏡で観察してがん細胞があるかどうかを調べる)を行います。尿細胞診検査では、がん細胞のグレードも調べることができます。三段階のうち、1がおとなしいがん、3が悪いがん、ということです。
また、腹部超音波(エコー)検査は、腎盂内の腫瘍や、水腎症を併発しているかどうか、リンパに転移しているかどうか、などを調べることができます。
がん細胞が認められると、CT検査を行います。CT検査では腎盂尿管がんの病期(どこまで進行しているか)を判断するのに必要な検査です。
また、CT検査よりもよく見えるといわれているMRI検査を選択する病院もあります。MRI検査では尿の流れをみることで、より小さな病変も発見できるようです。
これらの検査で大方診断はつくのですが、診断がつかない場合は、尿管鏡検査や逆行性腎盂造影検査といった検査をします。
尿管鏡検査は、尿管鏡というファイバースコープを尿道から挿入し、画像では見つけにくい、粘膜を這うように進行するタイプの腎盂尿管がんを見つけるための検査です。
逆行性腎盂造影検査は、尿道から内視鏡を挿入して膀胱の中を観察、また造影剤を投入して明瞭な画像によって異常を判断する検査です。
病期診断・・・進行しやすい腎盂尿管がん
腎盂尿管の粘膜は数mmと非常に薄いので、粘膜に入ったがんは発生箇所に留まらず、周囲の健康な細胞を取り込みながら拡大していく(浸潤がん)といった特徴をもっています。
一方で膀胱がんより予後が悪いといわれている所以です。
病期診断には、T(原発腫瘍)N(所属リンパ節)M(遠隔転移)があります。
それでは次に、全身浮腫 → 尿管腫瘍 → 腎不全・心不全を併発 で、即入院した金沢隆の、初診からの検査値の推移を見ていただきたいと思います。