中医学は、『天人相応』と、万物を陰と陽に分けて考える陰陽論と、万物を五つの属に分けた五行論を組み合わせた『陰陽五行論』を基礎理論としています。
こうして書くと「なぞ?」ですね。
『天人相応』とは、大自然を大宇宙とし、規模の小さいものや人間を小宇宙とする哲学的な考えのことです。
小さな細胞が集まり、臓腑や組織を作り、各部分が集まって大きな塊となって人体を形成している、自然もまた同じである、という考えで、万物は全て小さなものの集まりであるということです。
このページでは『陰陽五行論』の陰陽についてもう少し見ていき、陰陽を踏まえたうえで不妊でお悩みの方に多い腎陰虚(じんいんきょ)について対策を見つけていきましょう。
陰と陽
陰と陽は、どちらか片方だけで成立たず、存在することができません。
女性がいて、男性がいる。裏があって、はじめて表がある。
中医学ではこの陰陽のバランスを大切にしています。
もともとは、太陽による光と影の観察(伏義氏による)からきたので、陰陽は固定されたものではなく常に変化します。どんなに変動しても常にバランスがとれていれば問題ありません。例えば、「いつもは調子が良いのに、台風が近づいてくると激しい頭痛がする」「健康に問題はないと思うのに、赤ちゃんを授からない」という場合、やはりバランスが取れていないから、ということになります。
環境によって、年齢によって、季節によって、多かれ少なかれいつも同じというわけにはいかないわたしたちの心身です。養生方法や漢方薬もその時々に合わせて対応していきましょう。
陰虚とは
中医学でいう「虚」とは、足りない状態を意味します。逆に溢れて多すぎる状態を「実(じつ)」といいます。「陰虚(いんきょ)」は「陰が足りない状態」のことです。
不妊の子宝漢方相談で多いケースが「腎陰虚(じんいんきょ)」です。
腎陰虚(じんいんきょ)でよく表れる症状は・・・
手足や顔が火照る、のぼせる
のどの渇き、口渇
皮膚や目の乾燥
夕方からの微熱
不眠
ものわすれ
便秘、多尿
冷たいものの食べすぎ飲みすぎ
生理の量が少ない
子宮内膜が薄い
受精しにくい、着床しにくい
腎陰虚(じんいんきょ)は身体を潤す血が足りなく、腎がキチンと働けていない状態です。腎はよくボイラーに例えられますが、熱暴走のような状態で、熱症状や乾燥といった症状が表れるのが特徴です。
陰が足りないので陽が盛んになり、表面上はほてり・のぼせといった陽の症状が出ていますが、足りないのは陰です。よって陰を補っていかないといけません。これを補陰(ほいん)といいます。但し、陰陽は互根(ねっこが同じ)なので、陰が足りない状態が長く続くと、陽も目減りしていき足りなくなってきます。その場合は補陽(ほよう:陽を補う)を同時に行う必要もでてきます。
補陰(ほいん)しよう!
食べもので・・・
はまぐり、あわび、なまこ、すっぽん肉、黒きくらげ、黒豆、大豆、トマト、レンコン、山芋、ゆり根、春菊、スイカ、梨、メロン、ぶどう
漢方薬で・・・
阿膠(あきょう)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、瓊玉膏(けいぎょくこう)など
陰虚(いんきょ)体質を改善する養生法
昼は活動!夜は就寝!
人間は昼間に活動し、夜は眠ってしっかり休息をとるように定義されている、と考えて良いでしょう。夜遅くまで起きていたり、昼間に寝ていたり、昼夜逆転の生活をしていると、陰陽のバランスは崩れます。
「そうはいっても忙しくて時間が足りないんだ!」という方は、早起きを目指すと良いでしょう。夜更かしより朝早く起きて活動時間を確保する方が良いです。「仕事が夜なんだ!」という方は、一時的であれば食事や漢方薬が味方になってくれます。
ストレスを溜めない!過労しない!
ストレスフルな状態が長引いたり、働き過ぎは陰陽バランスを崩し、生活習慣病をはじめ、万病のもととなります。過度の性生活も同じように陰を消耗するので、何事もほどほどに。
辛いもの、刺激の強いものは控える
唐辛子・こしょう・ニンニク・生姜・らっきょう・ドクダミ・アロエなど、また味の濃いものは陰虚の方には向きません。
汗をかきすぎない
汗をかくと陰を消耗します。陰虚の方は、サウナや激しい運動など、汗をたくさんかくようなことは控えましょう。
★漢方薬は医薬品です★
あなたの証に合っていないと改善しないばかりか、悪化する可能性もあります。
不安なこと、お困りのこと、何でもお気軽に金沢薬局にご相談ください☆
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