難治といわれるアトピー性皮膚炎も、正しい処置を行えば、症状を緩和し、完治することも十分可能です。
皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断されると、ほとんどの場合ステロイド外用薬(外用合成副腎皮質ホルモン剤)が処方されるでしょう。 ステロイドは、私たちの体内、副腎皮質内でも毎日作られているホルモンで、主な働きは抗炎症作用と免疫抑制作用です。
正しく使えば優れた効果を発揮しますが、使い方を誤ると「怖い薬」ということになってきます。
アトピー性皮膚炎でお悩みの方はご存じのことと思いますが、皮膚を掻いてはいけない、とわかっていても、触ったり掻いたりして、症状を更に悪化させてしまう場合もあります。
ステロイド外用薬を上手に使い、今ある炎症を早急に鎮めながら、漢方薬と生活習慣の改善でそもそもの問題を解決する、そして自分で治す力を養っていきましょう。
ステロイド外用薬は悪者?
ステロイド外用薬にはⅠ群~V群まで薬効の強さのランクがあり、Ⅰ群寄りがより強いステロイド外用薬です。
「一度使うとぬけるのが大変」「肌が黒くなる」「皮膚が薄くなる」「糖尿病になる」「骨粗しょう症になる」「脂肪が増える」といった声が聞かれます。ステロイド外用薬が何かを知ると、副作用も作用のうちということがわかります。
ステロイド薬とは人の副腎皮質内で作られる副腎皮質ホルモンの合成薬です。副腎皮質ホルモンは、免疫抑制作用・抗炎症作用・タンパク同化作用・糖代謝や筋肉代謝などの代謝作用など多岐にわたっています。
ステロイド薬は、アトピー性皮膚炎の症状が軽減したり、かゆみを抑えることが出来ますが、副作用として、アミノ酸の不足により皮膚が薄くなったり、カルシウムの腸吸収を抑制し、さらに尿中への排泄を促進させることで骨粗しょう症になったり、四肢の脂肪が減少し顔や肩に脂肪がつくムーンフェイス現象が起きたりします。
しかし、正しく使えば短期間に症状を軽減できるメリットがあるので、決してリスクだけに目を向けるべきでもありません。
当店では基本的にはステロイド外用薬と漢方薬を併用していきます。ステロイド外用薬を正しく使いながら、お客様とじっくり相談しながら漢方薬を決めていきます。

ステロイド外用薬の種類
薬の強さ | 一般名 | 商品名 |
I 群 〔最も強い〕 Strongest |
クロベタゾールプロピオン酸エステル | デルモベート(グラクソ・スミスクライン) ソルベガ(久光製薬) |
酢酸ジフロラゾン | ダイアコート(ファイザー) | |
ジフロラゾン酢酸エステル | ジフラール(アステラス製薬) | |
Ⅱ 群 〔かなり強い〕 Very Strong |
ジフルプレドナード | マイザー(三菱) |
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル | リンデロン-DP(塩野義製薬) | |
ジフルコルトロン吉草酸エステル | ネリゾナ(バイエル薬品) テクスメテン(佐藤製薬) |
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フルオシノニド | トプシム(田辺三菱製薬) シマロン(東興薬品工業) |
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アムシノニド | ビスダーム(帝國製薬) | |
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン | パンデル(大正製薬) | |
モメタゾンフランカルボン酸エステル | フルメタ(塩野義製薬) | |
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル | アンテベート(鳥居薬品) | |
Ⅲ 群 〔やや強い〕 Strong |
デキサメタゾンプロピオン酸エステル | メサデルム(岡山大鵬薬品) |
デキサメタゾン吉草酸エステル | ボアラ(マルホ) | |
ベタメタゾン吉草酸エステル | リンデロン‐V(塩野義製薬) ベトネベート(グラクソ・スミスクライン) |
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ベタメタゾン吉草酸エステル フラジオマイシン硫酸塩 |
リンデロン‐VG(塩野義製薬) ベトネベートN(グラクソ・スミスクライン) |
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ベクロメタゾンプロピオン酸エステル | プロパデルム(グラクソ・スミスクライン) | |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル | リドメックス(興和) | |
フルオシノロンアセトニド | フルコート(田辺三菱製薬) | |
フルオシノロンアセトニド フラジオマイシン硫酸塩 |
フルコートF(田辺三菱製薬) | |
Ⅳ 群 〔普通〕 Medium |
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル | アルメタ(塩野義製薬) |
トリアムシノロンアセトニド | ケナログ(ブリストル・マイヤーズ) レダコート(アルフレッサファーマ) |
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ヒドロコルチゾン酪酸エステル | ロコイド(鳥居薬品) | |
クロベタゾン酪酸エステル | キンダベート(グラクソ・スミスクライン) | |
デキサメタゾン 脱脂大豆乾留タール |
グリメサゾン(藤永製薬) | |
Ⅴ 群 〔弱い〕 Weak |
クロタミトン ヒドロコルチゾン |
オイラックスH(ノバルティスファーマ) |
プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム | プレドニン(塩野義製薬) | |
オキシテトラサイクリン塩酸塩 ヒドロコルチゾン |
テラ・コートリル(陽進堂) | |
混合死菌浮遊液 ヒドロコルチゾン |
エキザルベ(マルホ) |
ステロイド外用薬の正しい塗り方

ステロイド外用薬のチューブは5g入りのものが多く、チューブから薬剤を出した時に、大人の人差し指の指先から第一関節までの分量を『ワンフィンガーチップユニット』といいます。 ワンフィンガーチップユニット(1FTU)でおよそ0.5gになります。
この分量がツーハンド、手2個分です。塗ってみると「けっこうベタつく感じ」と覚えておくと良いでしょう。

お肌のバリア力が弱くなっていますから、強く引っ張るようにゴシゴシと塗るとお肌に負担がかかってしまいます。
ちょんちょん、と点で薬剤を置き、体のシワに沿ってやさしく塗るようにします。
人間の体は横にシワがあります。上図のように、横に塗りひろげていくと良いでしょう。
★漢方薬は医薬品です★
あなたの証に合っていないと改善しないばかりか、悪化する可能性もあります。
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